コラム202 <カラスがトンビに恋をした?>
毎夕方4時を過ぎた頃から、病室から見える西の山林の上の方から
トンビが一羽 ヒューッ、ヒュルヒュルヒュル……
カラスが一羽 カァカァカァ……
そのかけ合いが寒い日も雪の日も続く。
余程気の合った仲間どうしなのだろう。姿は見えなくとも幾日も聞いていると、それだけは判る。
そのうち、こう思うようになった。
ある日カラスがトンビの声に魅せられて、気の合ったトンビに
〝私もあんたのように美しい声で鳴きたい。鳴き方を教えて〟とお願いした。
気のやさしいトンビは、毎日夕方には陽の沈みかけた西の林まで飛んでゆき
〝こう鳴くんだよ、ヒュー、ヒュルヒュルヒュル……〟と懸命に教える。
カラスは懸命にそれをまねようとするのだが、それでもやはり
〝カァカァカァ〟
私にはそのように聞こえる。
暗いニュースの多い中、何はともあれ、互いの違いを認め合って仲よくするのは皆の心を和ませる。