2024年5月27日月曜日

 コラム375 <戦争②> 


 平和への夢は永遠にかなわぬ人類の夢物語りなのだろうか。平和を守るためにこそ軍事力が必要だと云い、国民を守るためにこそ軍事力は欠かせないのだと云う。古代東西の戦争の歴史がそれを物語るのも事実である。しかし平和へのこの呪縛(じゅばく)から脱して人類は平和を創り出す原理をそれこそ人類の英知を結集して創り出さなければならないのではないか。日本にも古代中国にも戦国時代があった。古代ギリシャ、古代ローマ、古代インドの時代から、少なくとも数千年以上に亘ってほとんどの国が悲惨な戦を経験してきたのではないか。

 それとも戦争によって巨額の富を得る国や財閥企業が存在する限り止むことはないのだろうか。ウラ金どころの騒ぎではない。





2024年5月20日月曜日

 コラム374 <戦争①> 


 世界の各国が軍備増強に舵(かじ)を切り始めた。全世界が軍備にかけている総額は、どれ位になるのだろうか。


 私は思う。それらの軍事費及び費やされる戦費が世界の平和のために使われたなら、世界はどれ程変わるだろうか、と。軍備は軍備を生み、軍拡は軍拡を生んで限りが無い。長い歴史が刻んできたこの事実に未(いま)だ気付かぬとは、人類とは途方もなく愚かなものだ。


 

 生きものの中で最も崇高な存在は人類だと考える人も多い。確かに歴史の節々にそのような人間を生み出してきたことは事実である。

 だが昨今の世界情勢を見ていると、とてもそんな風には思えぬことばかりだ。戦争に限ったことではない。人間犯罪の報道を見ていても、人間そのものが崩壊し始めていることさえ、私は感じる。日本人とて全く例外ではない。


 戦争報道を見ていると、最も崇高な存在どころか、最も残忍かつ残虐な存在こそが人類であるとさえ思われてくる。


 ブッダの非暴力・寛容の教え、マハトマガンジーの非暴力の実践

 

 〝怨(うら)みは怨みによって消えることはない〟


この真実をほとんどの人間が知っているはずなのに実践が伴わない。昔から仇討ちは正当なこととして拍手をおくる心情が現に我々の胸のうちに今も生きているではないか。





2024年5月13日月曜日

 コラム373 <政治不信①> 


 事あるごとに政治家達は、決まり文句のように


  〝政治不信を招き・・・誠に申し訳ございません〟

  〝政治への信頼回復に・・・全力をあげて取り組みます〟


こうした物の言い方をする。

 しかしこれらの表現は全くおかしい。元あったものなら回復でもいいが、元々無かったものを回復とは、どういうことか。元々あったものは何かといえば政治不信そのものである。それを回復してどうしようというのか⁉

 この麻痺感覚が、同じような問題を繰り返す。国の将来に決定的な影響を及ぼすのは政治なのだから政治家達は日本の将来像に大局的見地から大志と夢を描いて取り組んで欲しいものだ。〝少年よ、大志を抱け!〟とはクラーク博士の言葉だが、大志を抱く必要があるのは少年だけではない。

 教育の無償化なども悪くはないが、それ以前に人間として歪み始めて久しい日本人をどのような方向に育み、育てていこうというのか?


 余談だが、地上に生を受ける第一義は〝生涯をかけて人間をつくり上げることにあり〟という明確な自覚が、国民にも、教育者にも、社会にも、家庭にも、まるで無くなってしまった。かつての日本はこうではなかった。現代では国も個人も人間をつくる前に、カネづくりに長(た)けた人間をつくり出すのに躍起になっている。学問が学歴のためになり、きわめて歪んだ価値観の社会をつくり出したと私の眼には写る。


 

 地上に生を受ける第二義は自分に与えられた使命を果たすことにある。それはその人その人に与えられた素質という形で示されている。こうした世界観は仏教によらず、キリスト教によらず同様のようだ。人間に与えられている素質は個々に皆違っている。自分に与えられた素質をのびのびと生かして人生を送ってほしいものだ。学業成績に長じるだけが能ではない。手でモノを作るに長じた人間は、その道に邁進(まいしん)すればいい。それでこそバランスのとれた社会と云えるのではないか。


  〝汝を愛せよ、そして汝を愛する如く隣人をも愛せよ〟


とはそのようなことを云うのであろう。

 




2024年5月6日月曜日

 コラム372 <夜半 聞こえてくるものは・・・> 


 約70日振りに冬季の入院リハビリを終えて3月上旬帰塾した。もう6年目になる。この時期東京本部の私室に夜半聞こえてくるのは、年度末予算消化のための道路工事・ランマーの音、それに欲求不満解消のためのオートバイの爆音(ばくおん)だ。

 6月上旬から行く八ヶ岳の私の山小屋に夜半聞こえてくるものといえば、鹿の鳴き声、それに夜空を飛んでいくホトトギスの声。

 都市と自然。騒音と静寂。