コラム 20 <自然の恵みを生かせばもっと豊かな暮らしができる>
八ヶ岳連山の頂は雪に蔽われ、裾野を取り巻く落葉松林は褐色に輝いて、まるで襟巻きをしたかのようだ。
今朝の山は氷点下20度にもなった。深夜しんしんと降り積った雪。そして朝の快晴。
山の寒さは明らかに恵みだ。
早朝カーテンを開けた時の、えも言われぬ冬景色の感動。
雪がすべてを吸収し、山中はし~んと静まり返っている。
梢から梢に飛び交う野鳥達の囀り、そんな中、日向に椅子を持ち出して本を読む楽しみ。
屋根の雪も二度、三度と落ちれば、その後は美しく透明なつららとなる。キラッ、キラッと陽光に輝く姿は、少なくとも私には幾百万円、幾千万円のダイヤよりも美しく見える。
つららの先からポトン、ポトンと水玉の雫が落下している。夜ともなれば濛々たる湯気の中、やわらかな雪の肌を眺めながら入る風呂・・・・・
物質文明の中で我々は何と多くの自然の恵みを見失ってきたことだろう。その半分欠けた心を物質で充たそうとしてさらに充たしきれずに、あがきもがいているのだろうか。