コラム336 <初めて出会ったヤマネ君>
年の半分を山に住むようになってから約40年、写真集や近くの人の話では何回も見たり聞いたりしているヤマネ君。念願かなって今年7月、初めて出会う事が出来ました。
山の小ネズミ達もかわいいものです。全体に茶系、腹の辺りが白。とても小さく、あまり人間を怖れる気配もなく、デッキに出している折り畳み式椅子のキャンパス地の中にもぐったり、ひょっこり顔を出したりする姿は実に愛くるしいものです。私が本を読んでいると手すりづたいにテーブルに乗ってきたり、慣れてくると手からヒマワリのエサを食べたりします。色といい、小さな体躯といい、すばしっこい挙動といい、一冊の絵本でも書けそうな程それはそれはかわいいものです。
この小ネズミ達にはこれまで幾度も出会ってだいぶ仲良しになりましたが、ヤマネにだけは一度も出会ったことが無かったのです。
小ネズミよりさらに小さく、茶系の毛に背中から長い尾先まで黒っぽい線が一筋入っていて、ネズミというよりリスのミニチュアと呼ぶに近い印象です。洗面所の扉の裏に居て、下のすき間から尾先だけチョロチョロ顔を出すのです。
中に入ったら桧風呂の縁(ふち)を伝い、窓から飛び出ようとして何度も何度も跳ねるのですが、ガラスに阻(はば)まれて外に出られないのです。
押し倒し窓を少し開けて、出やすいように風呂の桧の蓋(ふた)を橋渡しにかけておいたら、やっと外に飛び落ちるようにポトリと音を立てて出ていきました。ホッとしました。
ヤマネは山鼠と書きますが、冬眠鼠とも云うようです。明らかに小ネズミとは別種です。冬は冬眠するのです。雪の中で丸まって眠っている姿の愛らしさは格別です。
ここに載せてあるのは私が撮ったいたずらっ子の小ネズミ達です。残念ながらヤマネの写真が無いので、何かで見て下さい。かわいいですよ。