2017年11月27日月曜日

コラム 117  落葉点前  

標高1600メートルの八ヶ岳山中は紅葉の季節も終わり、落葉松のみが黄金色の葉を残すだけとなった。この季節になると風に舞う落葉は雪と見紛うばかりだ。 


先月来た時に壺に投げ入れておいた枝葉が枯れて、床に背を丸めて散っていた。ハラリハラリと散った風情がまたおもしろく、かたづけもせず晩秋の趣のままにしておいた。たまたまその壺の近くに茶ノ湯の風炉が置いてあったから、まわりが落葉につつまれたような格好になった。 

松永耳庵の本を読み耽るうちに、茶でも一服点てようかという気分になった。点前座のこの落葉が邪魔だ・・・・・と、ふとこのままの風情で楽しむのも一興かと茶碗と茶入れをその中に置いた。壺の中には赤いハゼの実が一房残っていた。なかなかの風情であった。私はシュウシュウという松風の中にしばし佇んだ。それだけで十分であった。

2017年11月20日月曜日

コラム 116  無風

樹々の葉がそよりとも揺れない。
枯葉のすれ合う音もない。
 完全なる無風。
2017112日のことである。
遠くから野鳥の声がかすかに聞こえてくる。
この静けさに合わせたように下を流れる瀬も、声を潜めている。
黄昏時の静寂。
久しく山の生活をしているが、こんな日にはなかなかめぐり合わないものだ。 


一瞬、風が通り抜けた。
サワサワサワッ。
まもなく枝と別れる枯葉達が揺れた。

2017年11月13日月曜日

コラム 115  人生  

あれにも なじめず
  これにも なじめず・・・・・
と言っている内に、人生終わり。
 私淑する人間も持たず
   座右の書をも持たず・・・・・
小ざかしいことを言っている内に、人生終わり。 

こんなことなら
 懸命に学び取ること、活かすこと。

2017年11月6日月曜日

コラム 114  野鳥達

空中から飛び降りてきて
  エサ台にピタリと止まる

バランスをくずして尻もちをついたり、
足を踏みはずしてつんのめったりすることも無い。
野鳥達は内村航平以上だよ。