今日またウソがガラス窓に飛び込んで死んだ。朝方コツ~ンと当たる音がした。これまでの経験から窓の下に落ちているに違いないとその方を覗き込んだが、見当たらなかった。どこも傷めずに飛んで行ったのだな、と安心していた。
夕方二羽のウソが室内に入ってきた。一羽はまもなく窓外に出て行ったが、一羽はガラス窓のところでパタパタとやっている。外に出してやろうと近づいてハッとした。その近くに一羽のメスが倒れているではないか。あぁ、今朝の音は室内での出来事であったか・・・・・朝窓を開けたから、室内に入ってきたウソが外に飛び出そうとして窓ガラスに当たったのだ。もしやと思ったが、もう冷たく硬直していた。
樹々を映して鏡状になったり、見通しのいい窓ガラスには頭から勢いよく突っ込むから首の骨が折れてしまうのだろう。強くぶつかったものは助からないことが多い。
以前当たって死んだ南面台所の窓は開けておくか、さもなくば網戸にしておくのだが、まさか北側広間の窓に、それも室内側から当たるとは予想もしなかった。白い布を敷き、端を枕にして、上から数枚のティッシュペーパーを掛布団がわりに掛けて横たえている。最期の水もくちばしにつけた。せめてもの通夜であった。
この小屋で亡くなったウソはこれで三羽となる。私が小屋を建てていなければこんなことは起きなかった。だがウソに私を恨んでいる様子は無い。
外の小さなテーブルで私は本を読み、傍らでウソはエサをついばんでいる。時々テーブルの上にやってくる。あどけない目で私を見つめ〝ナニシテルノ?〟といった風だ。私の方も〝ナニシテルって、本を読んでいるんだよ、ホラ、口にエサついてるぞ〟とか、やっている。