樹上でキジバトが長いことじっとしている。きっと眠っているのだろうと双眼鏡で覗いてみた。首を時々振りながら目をパチクリさせて、いかにも眠たげだ。瞼というよりも灰色の薄い膜が下ったり上ったりする。
見ている内に、鳩は眠る時まぶた(目の蓋)を閉じるのだろうかと疑問が湧いてきて、そのまま観察を続けた。
時々閉じるが少しの音にもパッと眼を開けて、反応はいたって俊敏だ。だが静かな時間が少し続くと、重くなったまぶたがまたく~っと閉じる。人間のようにじっと閉じて眠りこけるようなことは無いようだが、ここまでくるとまぶたの動きもやっと緩慢になる。人間にだって同じような状態がしばしばある。
まぶたを閉じたまま眠ってしまったら樹から落ちやしないかと余計な心配が始まる。そんなことで落ちるようなら、鳥はいくつ命があっても足りないことになるのだが〝それで死んだら命トリ〟などと独り言を言いながら、でもキジバトが樹上で眠る時、しっかり目を閉じるものかどうかは今のところ確認できないままだ。予想では暗くなって眠る時にはきっとそうするのだろうと思うが、私が観察したのはうたた寝までである。
今日はキジバトが夫婦(つがい)で昼寝をしているから、外に出られないでいる。エサを食べたあと枝の上でしばらく羽づくろいをしていたが、それも終わって今二羽とも目をパチクリさせ首をすぼめて昼寝に入ったのだ。午前11時20分。