2024年6月10日月曜日

 コラム377 <天道虫(てんとうむし)が指し示した本 その②> 


 もう一つは私も知らないことであったし、歴史の授業の中でも聞いたことのない事実であった。これも同本からの転記である。


  〝第二次世界大戦を終結したサンフランシスコ対日講和会議(1951)で、

   仏教国セイロン(現在のスリランカ)は、

   日本に対する損害賠償請求権がありました。

   ところがセイロンを代表したJ・R・ジャヤワルダナ蔵相

   (後にスリランカ大統領(1906~1996))は、

自発的にそれを放棄しました。

   その理由として引用したのが初期仏典『ダンマパダ』の次の言葉です〟


  〝実にこの世においては、怨(うら)みは怨みによって消えることは、ついにない。

   怨みは、怨みを捨てることによってこそ消える。これは普遍的真理である〟


 試験のために暗記勉強だけに終始した感のある社会科歴史に、私は30才近くになるまで興味を持つことがなかった。歴史の裏側に込められた人間模様を知ったなら私の歴史への興味はもっともっと深まっていたに違いない、と今更ながらに思う。