2021年11月29日月曜日

 コラム245 <愛の安定>

 

 愛についてこれまで古今東西さまざまな人が思索してきた。愛には最も身近な男女間の愛や、親子の愛・家族の愛にはじまり、友人愛・知人の愛、それに「痴人の愛」というのまであったな、又これらの愛よりもはるかに大きなスケールの人類愛まであって、これに自然に対する愛や動物に対する愛などを含めると果てしなく拡がってゆく。

  特に人間どうしの愛の発生に関していえば、感情的には好きとか、かわいいとか、気が合うなどの感覚愛や、生活センス・人生観を含めたところの価値観の重なりなどが含まれることであろうが、男女や夫婦・家族間の愛が安定するには、相手に対する尊敬の念というものが底辺に必要とされるのではないか。

 さまざまなことが起きる人生において、その人にしかない固有のものを相手の中に認めて、それに対する尊敬の思いを抱いておくことが、愛が安定するには必要なのではないか。
 特段深遠な思想というようなものではないが、病になってみて初めてそのことに気付かされたのである。