コラム231 <わからないことだらけ>
〝君は何という蝉だい?〟
〝ジィッ〟と答えた。
ちょっと目を離しているうちに姿が見えなくなった。襟(えり)のうしろあたりで〝ジジッ、ジジッ〟と最後の鳴き声をあげた。〝ジジイ、ジジイ〟と言っているんじゃないだろうな、もうだいぶ弱っているようだ。お互いに……。
疑問1 蝉は土中で何年もいるという。何を養分にして何年も生きているのだろう?
疑問2 蝉は土中に居ながらどのように梅雨明けを知るんだろう?
疑問3 梅雨が明けた途端に一斉(せい)に鳴き始める。あちらでも、こちらでも、離れたむこうの方でも…… 知らせ合うといっても無線機がある訳でなし、どのような手段で伝え合うのだろう。
疑問3 梅雨が明けた途端に一斉(せい)に鳴き始める。あちらでも、こちらでも、離れたむこうの方でも…… 知らせ合うといっても無線機がある訳でなし、どのような手段で伝え合うのだろう。
白樺の幹に帰してやった。最後の力をふり絞りながら上へ上へと登っていった。天国をめざすかのように……。