コラム342 <あの人の心は病んでいる>
〝あの人の心は病んでいる〟などと言います。そんな人がどんどん増えています。
でも私には、病んでいるのはあの人ではなく、あの人のまわりだと思えます。
まず、人々の集団が、社会が、地球規模で病んだのです。人間としての価値観が傷つき、歪(ゆが)んで安定を欠き、生物多様性だのSDGsなどと大さわぎするずっと前から、人としての価値観を見失い、とめどなく物欲の世界にのめり込んでいったのです。
あまり小さな概念に捕らわれずによき人々とのびのびと交流していく中で、〝弱きを強きに変え〟といった努力も現実社会を生きていくには必要でしょう。
しかし強いばかりが能ではありません。〝強きを弱きに変える〟必要がある人だって沢山います。強い人はそのことに気づきにくいのです。人間としてあるべきように、人間のあるべき真実の姿に近づいていくように、数千年前も昔から言われ続けてきた「中庸(ちゅうよう)」を心がけて偏(かたよ)らず生きていくしか、心の安定を得る道はないように思えます。
何よりもシンプルに生きましょう。むずかしい哲学書や宗教書、思想書を手にして、むずかしそうな顔をしながら生きるよりも、シンプルな真実を手にして、シンプルな喜びと笑顔で生きていった方が幸せというものです。このシンプルさの大切さに、最近やっと気づくようになりました。「シンプルイズベスト」。一人の心に始まり、場づくりへ、まわりに平和を拡げていきましょう。