2018年1月29日月曜日

コラム 126  馬鹿にするな! >  

馬鹿とは馬や鹿に対して失礼であろうと思っていた。あれ程人なつっこく、澄んだきれいな眼をしている動物は他にあまり見ない。彼らは人の心がよく判るという。だから余計にそう思うのだ。 

愚かなことを馬鹿と書くのはなぜなのか調べてみた。私と同様に思っている人がいるかもしれないと思い、ここにその調査結果を記す。 

・馬鹿と鋏は使いよう
・馬鹿に付ける薬はない
・馬鹿は死ななきゃ治らない
これらが英語にまでなっている。
No medicine can cure folly.  <どんな薬もばかは治せない>
・馬鹿の一つ覚え
He that knows little of ten repeats it.
<わずかな知識しかない者は、それを何度でも繰り返し言う>
                             『成語大辞苑』より 

馬と鹿もさんざんである。
これでは馬鹿もたまったものではない。
しかし調べてみて判った。私は彼らの名誉のために言う。
馬鹿はこっちの方であった。 

〝馬鹿〟あるいは〝莫迦〟とはサンスクリット語(梵語)のbaka(痴)又はmoha(無知)から来ている、というのである。『新潮 現代国語辞典』は大きな辞典でもないのに、この馬鹿についての説明がいやに詳しい。
それにしてもわざわざ馬と鹿の字を当てることもないだろうと思われるが、サンスクリット音訳即ち当て字であることが判っただけでも収穫であった。
他『漢語林』には上記解釈の他、馬鹿(バロク)と読ませて『史記』(秦始皇紀)の一節を紹介している。さらに興味をもたれる方はそちらもお調べになってみるがいい。私にはそれ程の興味は無いからこれで終わりにする。