2002年1月16日のことである。
夕刻5時40分に私は次のように書き記している。
太陽が落ちた・・・・・とはいっても、夕陽が沈んだという意味ではない。
今日の西の空は不気味だった。
暗紫色と黒色の雲に沈んだ太陽の余光が蛍光色を伴って白々と混じり、すぐさま暗黒の世界を想起させた。
それはまるで太陽が落ちた、というにふさわしかった。普段の夕闇なら多少の緋色を残して明日への希望を予感させるが、今日のそれは違っていた。もう二度と登らぬのではないかと思われた。
落ちた陽の続く姿を思い重ねて、改めて外を見た。
生き物はただ一つ無く、樹々も草花も成長を止め、やがて一木一草無い闇の世界と化すだろう。人の気配も完璧に消えていた。
不気味だった・・・・・そして我々が日々恵まれていたあの輝かしい、生気に満ちた世界がどれほどつややかでうるわしいものであったかと胸締めつけられる思いであった。まさしく天からの恵みであり、贈り物であった。
15年以上前の忘れられない記憶である。