2016年12月5日月曜日

コラム 66  晩秋  

枯葉が地表を覆い、その上にしとしとと雨が降る。
朝、カーテンを開ける・・・・・それはわかっていた。
朝陽に輝く晩秋の、えも言われぬ美しさ・・・・・
私は見惚れ、思わず溜息をもらした。
それは紅葉の華々しさとは違う、
やがて深い雪の下に踏みしだかれる枯葉達の最後の一瞬。 


見る見る内に、深い霧が辺りを充たした。霧が枯葉に嫉妬して、降りてきたのだ。水滴だけの私だって負けてはいない・・・・と。霧は色んなエッセンスを運んでやってくる。だからその香りも独特だ。
乳白の世界に、小さな小屋がボーッと浮かぶ。
鹿の親子連れが、淡い光の中をゆっくりと横切ってゆく。