コラム412 <溜(た)まって汚くなるのは金(カネ)と灰皿 ── その①>
地球上で年間生み出される総利潤を数パーセントの人間が独占しているという。貧しい国や人々が山ほどいるというのに、何と歪(いびつ)な資本主義社会になったものか。
〝溜まって汚くなるのは、金と灰皿〟
とはよく言ったものだ。
抱え込めぬ程の膨大な利益を上げているのは多くは時勢からしてIT企業だが、今日のTVニュースでやっていた。今度はそうしたIT企業による原発そのものの囲い込みが始まっているという。直接関係はなさそうに思っていたが、どうしてどうしてIT関連の大企業は大きくなればなる程手前の原発を要する程膨大な電力を必要とするらしい。
灰皿は灰を捨てて洗えば染みついて取れない臭いや付着して取れない汚れさえ気にしなければ、一応きれいになるが、カネの方はそうはいかない。溜まっても溜まっても捨てる人がいない。もっと、もっと、もっと、もっと、と際限が無い。汚くなるのは欲の世界から抜け出せなくなるからである。昔の事業家、特に財を成した創業者の中には志を持って世のため、人のため即ち社会還元して、溜まったカネをきれいに使った人が少なからずいたが、今の日本は欲にまみれた人間だらけで、人間そのものの劣化を思わせる。
〝オレオレ詐欺(さぎ)″ などと言われるようになってから久しいが、少なくなるどころか年々組織的かつ巧妙化してして、取り締まる方も知恵が追い付いていけない。これなども人を馳してでも金を、という根性が根を張っているからである。余程の志を持たぬ限り、金の汚れは取れない。