だが同じ地点でも樹々の皆伐された敷地内に立てば軽く30度を越す。長く暮らしてみて分かるのは樹々の影響の大きさである。
地球の温暖化の影響か、この辺りも年々気温が上昇し、加えて住人も増えて樹々の減少、森の消失がさらにこの傾向に拍車を掛けている。
この夏、私はひとつの調査を試みた。
8月9日水曜日、晴天とはいえ雲が所々に残る日である。
調査時刻は午後1時から2時。方法は1.5メートル程の棒の先と足元に寒暖計を取り付けての測定である。
山小屋の室温は21.0度。樹々に覆われた私の敷地内気温は24.0度であった。
次に樹々がすっかり伐り倒されてぽっかり空の空いた区画に移動。温度はたちまち36.5度にまで上昇した。ここで意外だったのは、下草で覆われている地面付近の温度が39.5度と、予想以上に高かったことである。
因みにアスファルト舗装された道路ではどれ位あるものかと置いてみたが、温度は大して変わらず日向では36.0度、木陰では30.0度であった。すぐ脇の砂利道もほぼ同じ35.5度、木陰では26.5度となった。
同じ標高の山中でも、状況によってこれ程の温度差が生じるのである。気温の定義はともかくも、その場・その街の気温とはいったい何なのだろうと思われた。
さらに同じ寒暖計を標高にして500~600メートル程下った富士見町のスーパーマーケットの駐車場に持ち込んでみた。標高差と気温の関係は100メートルにつき0.6度というから、それだけでいうなら3~4度上昇するはずである。だが、驚いたことにここでは私の敷地内より18度上昇し、42.0度にまで達したのである。
ここに結果を整理すると以下のようになる。
<標高1600メートル> ・私の山小屋の室温 21.0 度 ――
・樹木に覆われた私の敷地内 24.0度( 23.0度 )
・樹木が殆ど失われた敷地内 36.5度( 39.5度 )
・舗装道路面 36.0度( 38.0度 )
・未舗装(砂利)道路面 35.5度( 37.0度 )
<標高1000メートル> ・スーパーマーケットの駐車場 42.0度( 42.0度 )
( )内は地面付近の温度
― つづく ―
― つづく ―