2020年6月8日月曜日


コラム168 < 新型コロナウィルス:濃厚接触?>


 日本語をもっと大切に使いたいと常々思っている私は、この「濃厚接触」という表現に、未だに違和感を感じ続けている。どこで誰が決めたものやら、コロナ流行の最初から使われていたから厚生省がらみの政治家達だろう。ジャーナリスト達も無批判に右倣(なら)えだ。
 濃厚を国語辞典で調べても
     色・味などが濃いさま⇔淡泊
     物事の気配などが強く感じられるさま⇔希薄「敗色——」
     男女の仲が情熱的であるさま「——なラブシーン」       (『辞林21)
 確かに濃厚感染という言葉があるが、これは今回の濃厚接触とは意味あいがだいぶ違う。これと同時並行に〝三密を避けよう!〟との声がかかった。三密とは密閉空間・密集場所・密接場面をいうらしい。ならば余計、濃厚な接触ではなく、濃密な接触の方がすんなり来るし、ニュアンスとして国民にも通りがよかっただろうと思う。
 別に腹を立てる程のことではないけれど、国や都道府県からのお達しならばなおのこと、せっかくの日本語の豊かなニュアンスをもっと大切に正しく使って欲しいものと願うのである。