コラム441 <今の私の名はグ・ロッキー③>
〈リリカからタリージェへ〉──最後の強烈なボディーブロー──
今回思ったのは、ジェネリック薬品のことだ。開発費がかからないし、同じようなものが安価にできるのはいいが、薬の名前まで全く変えるのは問題だと思う。
今回の肋骨他の骨折は痛みを和らげるための「タリージェ」という薬の副作用に始まっている。私の体質との相性が悪かったのだろう。強烈な眠気におそわれ、本を読んでいても意識を失うようにデスクにゴツ~ンと頭を打ち、さらには椅子から転げ落ちるようにして並べてあったCDに頭を突っ込み、広い額から血を流した。骨折はその延長線上にある。
夜、広間の大きなテーブル上に置いてあるデスクスタンドを消して後ずさりしながらベッドに辿り着こうとしたのだが、着く1メートルも前から真後ろに転倒し、オーダーで作った木のベッドのフレームに真一文字に背を強打したのだった。眠気で足がふらついていたのであろう。まるで十字架にかかったイエス様の像のような恰好(かっこう)で、しばらく立ち上がれなかった。
翌朝救急車で「富士見高原病院」に運ばれた。担当医が内科の先生だったためか、最初は腰部肋骨一本骨折とのことだったが、十日間の入院後自宅療養でもOKと言われたので退院した。しかし苦しさが続くのでここ数年行きつけにしている「ライフクリニック蓼科」で再度診察を受けた。
〝高橋さん、肋骨一本どころの話じゃありませんよ〟
結果は前々回のコラムに書いた通りである。
「タリージェ」という薬は後に知ったのだが「リリカ」という薬のジェネリックとはいえないまでも、同類の改良薬であることが判った。
このかわいい女性のような名のリリカには危ない想い出がある。毎年入院リハビリを続けている鹿教湯病院で、たしかコロナワクチン以後の痛みを和らげるために処方されたと思うが、坂道の多い歩行コースで筋脱力症のように腿(もも)に力が入らなくなり、危ないと判ってすぐに中止してもらった薬だった。
病院が変わればその辺の細かな情報(いきさつ)までは共有できないから、こういうことが起きるのである。もしも「リリカ」の後発品なり、改良薬といったことがどこかに明記されていれば、これは私の体質に合わないと即、判断できたに違いない。
身体の痛み・苦しみを和らげる薬には、いったいに眠気、ふらつき、筋弛緩(きんしかん)などの副作用がある。何でもない人もいるようだが、私の場合そのどれもが出た。今回の「タリージェ」はさらに強烈であった。
今回のブログのテーマに「グ・ロッキー」と思いついたのには以上のような訳があったのである。