コラム335 <野生種・天然ものと人間>
草花にも野生種と栽培種がある。
茸にも天然ものと人工栽培物がある。
さて人間はどうなっているのか?
最近私は、人間の多くが野生種・天然ものから次第に離れて、見た目には人間のようでも、何か得体の知れない人工栽培もの・栽培種に向かっていっているのではないか、いやすでにそうなっていると思われて仕方がないのである。
縄文・弥生時代の人種とは徐々に違ってきたのはいたって自然なこととして、こと近代・現代になって急速にこの野生・天然即ち種としての自然が遺伝子操作を受けたかの如くに変異してきたのである。
私はこういう事態を薄気味悪い思いで感じ取っている。野生種の血を引く天然ものの人種の行きつく先は・・・というよりも行きつかぬまま破滅すると予感する。人間が人間として夢を描ける時代は過ぎ去ったのだ。今は天の意志でも制御できない得体の知れない何か見えない力に引きずられるように、自走し始めたのである。
人間よ、自然を取り戻せ!
人間よ、野生を取り戻せ!
という声は天空の彼方に空しく吸い込まれていく。
これが最近の私の実感である。