2016年4月11日月曜日


コラム 32 <音楽と人との出会い>  

一口にいい音楽と云っても聴く状況により違ってくるのは当然である。一人で聴く場合と大勢の場合とでは異なるし、二人・三人の場合でも相手によってまた違ってくる。
その点、自分一人で聴く場合には自分の気分・好み・感覚に素直に従えばいいのであって、その分選択の巾も自由で広いように思われる。
だが人と出会って自分だけでは知り得なかった分野の音楽に出会うことがある。こうした経験は貴重なものであって私などこれまでどれ程その恩恵に浴してきたか判らない。

振り返れば白井晟一研究所にいた10年間はバロックからクラシックが専門であったし、それまでも聴いてはいたが、住まい塾を現在の志木市に移してからはジャズ喫茶BUNCA(バンカ)の影響が大きく専らJAZZ浸しとなった。
座間こどもの家保育園の園長小島良之さんは私とは全く違う分野の音楽にも興味を持っていて、アルヴォ・ペルト〈Arvo Pärt〉やキムカシュカシャン〈Kim KashKashian〉の音楽など、小島さんとの出会いがなければ生涯聴くことも出会うこともなかっただろう。
特にアルヴォ・ペルトの音楽との出会いは、小むずかしいばかりでさっぱり胸に響かないといった現代音楽への偏見から抜け出ることを助けた。この作曲家を通じて現代には現代にしか生まれ得ない音楽世界があることを知った。
エストニア生まれというアルヴォ・ペルト。私が最初に紹介されたのは『タブラ・ラサ(TABURARASA)』というアルバムであった。この演奏にはギドンクレーメル(vn)とキース・ジャレット(pf) が参加している。
 
 
久々に聴いた。
アルヴォ・ペルトの『タブラ・ラサ』
キムカシュカシャン(ヴィオラ) 演奏の『ユリシーズの瞳』『エレジー』
やはりいい。いずれも小島さんが最初に聴かせてくれた音楽だ。