2025年9月22日月曜日

 コラム436 <ウグイスとホトトギス> 


 心掛けのいい鳥がいるもので、『法華経』を常に唱(とな)えている。〝ホーホケキョッ!〟〝ホーホケキョッ!〟ウグイスである。仏教の信者という訳ではないだろうが、春先には住まい塾の東京本部でも聞くことができるし、6月初旬に山小屋にきたがここでもしきりに鳴いている。


 〝ホーホケキョッ!〟〝ホーホケキョッ!〟


 日が経つにつれ、おぼつかなかったさえずりが上手になっていく。

 山中では同時期にホトトギスがよく鳴く。繁殖期の雄は「特許許可局(トッキョキョカキョク)」と鳴く、と図鑑などにも書かれているが、そう言われれば、そう聞こえないこともない程度で私などにはどちらかといえば〝トッキョキョキョキョキョ〟と聞こえる。これが昼だけでなく夜中の暗い樹間を鳴きながら飛んでいく。鳥眼とよく言うが、この鳥は夜も目が見えるのだろう。

 このウグイスとホトトギスには縁があるのだ。ホトトギスは自分で巣を作らず、ウグイスなど他人の巣に卵を産み落とす。育児も他人任せである。これを托卵というらしいが、どうも私はこの性格が好きになれない。企(たくら)むという語源はきっとここにある、とさえ思っている程だ。育児放棄。「ホトトギス派」がなぜ俳壇の主流を形成するに到ったかも私には判らない。しかし育児放棄を責める資格は、私には無いな。21才の娘を亡くしたのだから・・・。別居していたこともあるが、娘の心を察してやることさえできなかった。