コラム433 <金(カネ)と戦争>
戦争は数々の惨禍を残しているが、その裏では軍需産業によって巨額の利益を手中にしている者達がいる。そのことを誰も問題にしないが、今日財閥と呼ばれるようになったグループは裏にほとんどそうした歴史を背負っている。
日本はチマチマした裏金問題で大騒ぎしているがそんな場合ではないだろう、と私は思う。軍需産業によって巨額の金を得て、戦争を喜ぶ人間がいる限り、戦争が人間の歴史から消え去ることはないだろう。彼らは〝喜んではいない、ただもたらされるだけだ〟と言う。ならば受注を断ればいいではないかと考えるが事はそう簡単ではない。松下幸之助氏が遺した戦時中の記録などを読むとそのことがよく判る。
時々思うことがある。全世界の巨額の軍事予算を、平和な世界をつくるために使おうと各国が決心し、実践したなら、どんな変化が生まれるだろうか・・・と。こんな夢のようなことを考えている。
しかしこれは決して夢ではない。戦争は決してしないと各国がそれこそ一勢に決心すればいいのだから・・・。
事実、そのように決心している素朴な国は存在するし、日本の先住民族、アイヌも多少のいさかいはあったにせよ、酋長どうし徹底して話し合うことを基本にしていたようだ。
しかし地球上の食糧自給があやしくなってきている現在、単純な方程式では解けぬ問題が多々あり、金の分配だけでは解決できぬ問題も人類は多く抱(かか)えることとなってしまった。
〝かたつむりだって、たどりつくんだよ〟
仏画師安達原玄さんの言葉である。