2019年12月2日月曜日


コラム141 <リハビリテーション病院へは一日も早く!の意味するところ>

一般には失われた身体感覚を回復するには一日も早くリハビリを始めた方がいいということであろうし、これに間違いはないだろうが、それとは別に私の感じたところを記しておこうと思う。
 リハビリテーション病院は病状に一段落ついた人がリハビリのために行く専門病院であるから、病院の役割が限定的な分、急性期の病院によりもはるかに人も院内のリズムもゆったりしていて、私にとってはそれが何よりもうれしいことであった。
 忙しい、慌しいとは 文字通り 心を亡ぼし、心が荒れる意であるが、その辺が大きく違って忙しいには違いないのだろうが、煩しさの度合いがゆるい分、看護師はじめ職員も一体に対応が親切で優しいものとなった。私にはこのことがリハビリテーション病院に一日も早く移った方がいいといわれる第一の理由であると感じられた。
 皆それぞれに大変には違いないが過度な苛立ちが少ない分、リハビリのトレーナー(セラピスト)や看護師さん達ともいい人間関係が築かれやすいと言える。長期の入院生活になる訳だから、これはとても大切なことだ。
 勿論、理学療法士や作業療法士としての、プロとしての技量の差も病院や人によってかなり大きいのではないかと思う。詳しくは知らないが、理学療法士(PT)とは歩く方のトレーニングが中心で、作業療法士(OT)とは日常生活上必要な作業、例えば着替えたり、トイレに行ったり、ボタンのかけはずし、タオルの折り畳み、上級になれば、入浴や料理などまで広がるが、主に腕や手、指のトレーニングが中心となっているようだ。マヒして動かぬ分どちらのリハビリも疲れるが、歩く方よりかえってOTのトレーニング後の方がぐったり疲れるのが最初の頃は不思議だったが、作業療法の方が脳神経をだいぶ余分に使うせいだとだんだん判ってきた。
 私の場合、歩く方よりも一層、肩・腕から指先までの動きの回復がさらに捗々しくなく、それに強烈なシビレが加わって、根気強いトレーニングを必要としていると感じる。

 こんな風になってみてはじめて痛感するが、指先での細やかな手作業などは、全く奇跡的なことに思われる。歩いたり走ったりその他普通に動けることがすでに大いなる恵みであり、これに才能と訓練が加わって人並以上に優れたものが作り出せるようになるとか、すぐれた能力を身につけるなどは、自力の世界でのことのように思われていたが、全く他力の世界の中での奇跡であると思うようになった。