2025年8月11日月曜日

 コラム430 <マンネリ──打てど響かぬ鐘の如くに──> 


  〝打てど響かぬ鐘は捨てられるのみ。〟

 

 何の職業でも基本的な知識と技術が必要なのはいうまでもない。若い内には当然不足が沢山ある。その不足を補うべく、10年、20年、30年と訓練と経験を積み重ねていくのである。


 だが、その後に待っている病がある。マンネリである。

 自分があたかも、もう出来上がっているかの如く錯覚し始める。もう学ぶことは自分には大してないという妄想と思い上がりである。

 素直な心を失い、学ぶ心を失い、向上心を失う。この驕(おご)りと慢心をこそマンネリという。もっと簡単な言葉でいえばうぬぼれ、である。


 生涯現役を理想のようにいう人は多いが、上記の心を失った人間に生涯現役をされたのではたまらない。死ぬまで仕事に携わろうというなら、その者にはあらゆる意味で生涯この向上心が必要である。向上心を失った心は素直さというたおやかな心の命を失ったも同然だからである。ベテランなどと呼ばれたりするが、勘違いしてはならない。マンネリ人間と同意かもしれないのだから・・・。

 逆にいえばマンネリに陥らぬ者をこそ天才と呼ぶべきだろう。私などはその好例である。笑うな!