コラム431 <一日一善>
〝一日一善〟と云う。
入院している私は朝・昼・晩と三膳いただいているのだから〝一日三善〟を心掛けようとこう思った。
入院中の患者さんにすれ違ったらあいさつでもほほえみでもいい、声を掛けるだけでもいい。ベッドに横になってリハビリを受けている人の動かぬようになった手を握って励ますだけでもいい。弓なりに曲がってしまった背骨をさすってやるだけでもいい。勿論少し心の交流ができた人に対してである。
看護や介護の人達は見ていて大変だと思うが、長いこと接してきて、そういう現場の人達に一番大切なのは人としての優しい心根・真心であると思うようになった。入退院を繰り返して8年になる。そうした中で何よりもうれしく、苦しさを和らげてくれるのは人の心のやさしさであると確信するようになった。
〝あの人が夜勤の時は気持ちが重くなる〟と言った人もいたし〝あの人が夜勤の時はナースコールを押さない〟という人もいた。そう言ってはいられない時もあるのだが、お互い思いやりを持って、医療・介護の現場をおだやかなものにしたいものだと思う。