2016年10月10日月曜日


コラム 58  野の花  

野の花は見る人に安らぎを与えます。それは自己主張が無いからです。
野の花は〝きれいだねえ〟というと〝そう?〟と、そ知らぬ顔をしています。
野の花は化粧したりしないから、〝ワタシ キレイデショ?〟などとは言いません。
摂理に従って咲いているだけ。おまかせの自然体。 


人間が人を疲れさせるのは、自己主張があるからです。
相手が理解しないとなると・・・・・野の花と、何と違うことでしょう。 

〝「活ける」花は自己主張が大きくて相手を、疲れさせます。
花を材料として私の妄想を表現しようとしているのですから。花を通して相手の自己主張と、盲想におつきあいせねばなりませんから疲れてしまいます。花展でくたびれるのは、それです。〟
尼僧 青山俊董さんの言葉です。 

今は自己主張の世界――みんなそれをよしとしています。そしてみんな疲れています。
いつの日か、野に咲く花のような存在になりたいものです。